猫白血病の猫との1年9ヶ月

2021年8月11日

私事ですが、猫を看取りました。
猫白血病キャリアの子です。野良猫を保護するとたまにある話です。

私は何匹かの猫とご縁がありましたが、猫白血病の子と出会ったのは初めてでした。そのため知識がありませんでした。いまもし時間を戻せるならこうしていたのに、ということがいくつかあります。もしも誰かの役に立つならと願って、それをここに書かせていただきたいです。猫を飼っていないしその話あんまり興味ないな…という方は、ちょっと今回頭おかしいレベルの長文になるかもしれないので、いつか私が明るい話をできるようになったときに、ぜひまたお会いしましょう。今回はすいません、猫一色で、しかも病気の話です。ちょっと昨日の早朝に看取りまして、今日火葬して、いろいろ覚えているうちにと思ってこれを書いています。まだふわふわした状態で書いていますので、なんかテンションとか内容とか色々とおかしかったらごめんなさいね!こいつあんまり寝てないなと思って許してください。

まずは猫白血病って、聞いたことくらいはある人多いと思うんですけど、たぶん実際飼ってるとかじゃないといまいちよくわかりませんよね。たいていは野良猫さんを保護した時に発覚します。野良猫を保護したらとりあえず病院に連れていくと思うんですけど、そのときにどんな病院でもだいたい「猫エイズ」「猫白血病」の検査をします。

こういう、ほんのちょっと採血して左の丸いところに血をたらして、簡単に「猫エイズ」「猫白血病」の2つの検査ができるスナップテストが動物病院なら絶対あります。血のところはモザイクにしておきますね。これをね、私のかかりつけだと3500円なんですけど、ちょっと高いんですけどぜひやっといてほしいです、けっこう運命別れるので。野良猫を保護して動物病院連れて行ったら異常がなくてもだいたい1万円とかかかっちゃうんですけど、けっこう高額ですよね。そんなになると思わなくて連れて行った人もいると思うので、スナップテスト3500円って言われたらそれはいいですって言いたくなると思うんですけど、これもし陽性だったらだいぶ余命が短くなります。あともしすでに猫を飼っている場合は感染させてしまう可能性があります。これらの感染症を持っていると里親を見つけるのはかなり厳しくなりますし、もしキャリアだと知らずに飼っていたら、元気だと思っていたのに1歳とか2歳とかで急に重病になって失うかもしれません。感染の有無は知っておいた方がいいと思います。

さて、この「猫エイズ」と「猫白血病」なんですけど、どっちかが陽性になることと、両方陽性になってしまうこともあります。ウィルスに感染した状態なんですけど、私は猫エイズはわからないので猫白血病に限った話をします。3年以内にそのウィルスが原因で白血病、リンパ腫、貧血などを発症して死んでしまう可能性が高いという病気です。「猫白血病」っていう名前ですけど全員白血病になるわけじゃありません。でも全部致命的でやばい病気なので、絶対ならんほうがいいです。

でも「動物病院でスナップテストをしたら猫白血病だと言われた」というこの時点では、まだ全然致命的じゃないことが多いです。というのも、発症してなければ全然ふつうの元気な猫なんですよ。発症するまでは元気で幸せに暮らせます。ちなみに人間には感染しません。家にほかに猫がいなければ、寿命は短くとも健康な猫と変わらず暮らせます。

家にほかに猫がいる場合は、残念ですが一緒にしないほうがいいです。感染したらその子もやばいので。体液、とくにお互いをなめたり水のお皿を共有したりとか、唾液で感染してしまいます。私は家に3匹猫がいたので、猫白血病と言われたときは絶望しました。私がこの野良猫を保護したことで、全員に感染して全員死ぬかもしれない。そうなったら自分のしたことを抱えてその後生きていけるんやろうかと思い悩みました。

動物病院に連れて行った時は「かわいい子だね」とか「里親探すの?」とか言われてなんか保護活動してるところを紹介してくれる感じで、わりとなごやかに診察進んで行ってたんですけどね、猫白血病が出た時点で空気が変わりました。ノミダニの駆除もお願いしてたのにその時点で話をまとめられて帰らされそうになりました。とりあえずノミダニ駆除剤はくださいっつってもらってきたんですけど、それまでの話が急に切れました。気のせいかもしれないんですけど、なんとなく、猫白血病だってわかったら元いた場所にリリースする選択肢もあるからだなって雰囲気でした。

でもその選択肢は私にはないです、一度手を出したので。この猫は鼻にけがをしていて大きいかさぶたを作っていました。あと体の半分がいつも濡れていたんですけど、病院連れて行ったら濡れてるんじゃなくて、ネズミとり用の粘着剤にひっかかって自力で暴れて脱出したようで、そのノリが固まって付着したものでした。
家の周りに来るようになったからエサをあげてたんですけど、けして近づいてはきませんでした。ほんの少し私が距離をはかっただけで、その空気感で気づいて逃げるくらい警戒心強かったです。それが、網戸越しに私が「にゃー」って猫の鳴き真似をしてみたら一変しました。急にニャーニャーニャーニャー大声で鳴きながらあたりをきょろきょろして、離れなくなりました。完全にお母さんを探してるムーブでした。私はこのときに、責任が生まれたと思いました。お母さんを探して、愛情と安全を求めてるこの小さい猫に、それをあげたいと思いました。

かといって他の猫に感染させて亡くしてしまったらと思うと怖くてたまりませんでした。猫白血病とわかっていて多頭飼育をしている人もいるようです。先住猫にはワクチンをした上で、一緒に飼ってるという人もいるようです。しかし一番推奨されるのはワクチンを打った上での隔離です。他の猫と、このキャリア猫を絶対に接触させない。人間がキャリア猫のお世話をしたら、必ず手を洗うかアルコールで消毒する。そうするしかなかったものの、他の猫は家の中のどこにでも行けるのに、このキャリア猫は隔離部屋を作って、そこから出せません。仕方ないんですけどこれは正しいことなんでしょうか。たったひとつの部屋から出られない人生なんて。罪悪感と、この先に待ち受けるたぶん暗い未来に、心がつらかったです。もしもうちが、他に猫を飼っていなければこの子はどこにだって行ってよかったのに。

なにが正しいのかわからないまま、とにかく感染の確率を下げるために他の3匹の猫たちに4種混合の予防接種をしました。うちは家猫で外に出さなかったのでワクチンは打っていませんでした。しかし猫白血病の猫を迎えたので打つことにしました(ちなみに最近はワクチンは毎年じゃなくて3年に1回でいいっていう流れになってますので、気になる方は獣医さんに聞いてみてください)。あと猫白血病のウィルスはあんまり強くなくて、アルコールとかの消毒ですぐ死にます。子猫に感染するとよくないですけど、1歳以上の大人猫に感染した場合は免疫で排除できる可能性が高く、うっかり感染してしまっても一過性の症状で終わる場合も多いそうです。ワクチンは万全じゃなくて感染回避の確率は75%くらいみたいなんですけど、みんな大人だということを併せて考えると、先住猫たちが猫白血病をもらってしまう確率はかなり低いと考えました。実際ほかの猫たちには最後まで感染することはありませんでした。

そして猫白血病は、陽性だと言われたのにしばらくしたら陰性になったり(陰転といいます)、逆に陰性だといわれて喜んでいたのに後になって病気になって、調べたら陽性だったとかいうことがあります。これは感染猫との接触があってもすぐには陽性が出ないので、陰性で喜んでいたけど実はそのあとで感染が成立していたケース、または陽性が出たけど頑張って自分の免疫で排除できたラッキーケースがあります。正確な状態を知るには時間をおいて何回か検査するしかありません。陰性と出たけど数週間後にもう一回検査して、もう一回陰性が出てくれたら晴れてノンキャリア確定。陽性と出たけれど頑張って免疫が上がるサプリを飲んだりインターキャットという免疫を上げる注射をしたりして、免疫が勝てば陰性に転じてラッキー。そういう余地があります。ただし陽性と出た後に、16週間を過ぎてもやっぱり陽性の場合は、持続感染といってもう完全に感染しちゃってる状態になります。

持続感染になるまではまだちょっと希望があるんですけどね。もしなってしまったら、あとはいかにストレスをかけずに暮らせるかです。ストレスが発症の引き金になります。猫白血病だといわれて悲しい運命を背負ってしまっても、一生発症せずにふつうに寿命を全うする子もいます。次に目指すのはそこになります。

その時に大きな障害になるのが、発情です。猫白血病のキャリアであることがわかると、避妊・去勢手術の際の麻酔のショックで発症してしまうかもしれないので、手術を推奨しない獣医さんもいます。私のかかりつけ医もそうでした。なので発情抑制の注射を打って発情をごまかす方法にしようと言われ、そうしました。この選択を、私は一番後悔しています。避妊去勢手術には全身麻酔を使います。麻酔は体に負担かかるので、健康な猫でも高齢になると麻酔できないから手術やめときましょうかと言われたりします。麻酔はリスクあるんですね。
それでも発情のあまりの苦しさとストレスに比べたら、やっておけばよかったと思っています。男の子ならまだ踏み切れたんですけど。女の子なので開腹手術になるし、リスクを考えてためらってしまいました。先生は「どうしてもと言うならやるよ」と言ってくださっていたので、若くて元気なうちにお願いするべきでした。踏み切れないまま発情がきました。結局発情は生きてる間に3回来たんですけど、どれもひどく苦しいものでした。交尾する相手を求めてとんでもない大声で怪獣のように鳴きながら、窓から窓へ歩き回って外へ出ようともがきます。夜中でも関係ありません。鳴き叫んで疲れて眠り、また目が覚めたら衝動に体を乗っ取られて鳴き続けます。飼い主のほうもノイローゼになりそうですし、刺激してはいけないのでなでてあげることもできません。ごめん、ごめんと言いながらどうすればいいのかわからず、もうやめて、もう鳴かないでとしんどくなって、でも猫のほうも辛くて、さんざん鳴き叫んだあとで私の腕の中にきて束の間眠ったりしていました。その疲れきった顔を見ていて私も辛くてたまりませんでした。本当にこのやり方しかないのか、こんなに辛い方法しかないのか。ストレスをかけてはいけないと言われて、こんな地獄のようなストレスを平気でかけてるじゃないかと悔しく思いました。
その後発情抑制の薬剤をググったら、一生のうちに打つのは8回未満にしたほうがいいという記述を見ました。それ以上は乳腺腫瘍のリスクが出てくると。でもうちの子は猫白血病なので発情が来たらきっと死ぬまで打たないといけないでしょう。どうして体に悪いのにこの方法しかないんだろう、どうせ白血病だからと細かいところはあきらめないといけないんだろう、悲しみが少しずつ積もっていきました。
そして3回目の発情がきたときに、もうこんな辛い方法はいやだと思って必死に調べました。そのときに知ったんですけど、かかりつけ医は発情が来たらホルモン抑制剤を注射していて、だいたい3日くらいでおさまるという方法だったんですけど、この注射本当は発情中に打たないやつでした。予防で注射して、次は2ヶ月後、次は3ヶ月後…という感じで間隔をあけて注射して、そもそも発情がこないようにコントロールするやつでした。発情中に打つとか、臨床ではそういう使い方することあるのかもしれませんが、どんなに猫に申し訳ないと思ったかわかりません。避妊手術に踏み切れずにあんな苦しみを3回も味わせてしまった。この時にはもうリンパ腫を発症していたので余命わずかの状態でした。私はもうどんなに獣医さんに嫌われてもいいから、無知な飼い主でいるのはいやだと思いました。

私は今年の初めに猫を脱走させてしまったので、7日間外で過ごさせてしまったので、それもストレスをかけたと思います。思い返せば後悔することばかりです。あれがなければ、これがなければと考えてしまいます。発情がなければ、脱走がなければあの子は今でものんきに寝そべって、ごはんもおいしそうに食べていたんでしょうか。私がもっと必死に色々調べていればよかった。もっと気をつけて、あらゆるストレスを回避してあげればよかった。できなかったことばかりです。もっとできたことがあったのに。何も悪くないあの子が、私の無知や軽率な行動に振り回されてしまうことが悲しいし申し訳ないと思いました。

猫白血病キャリアの子は、傷の治りが遅かったです。あとリンパ腫で胸水を抜いた時にお腹の毛を少し剃ったんですけど、それがまた元通りに生えそろうのも時間がかかりました。4ヶ月経っても元通りにはなりませんでした。怪我とか風邪とか、なるべくすぐに気づいて早めにケアしてあげてほしいです。

あとこれは余談みたいな話なんですけど、猫白血病の猫はおヒゲがくねっと曲がっているところがある、という研究があるみたいです。実際うちの子も少し折れ曲がっているところがありました。ノンキャリアの猫たちのおひげは全部まっすぐでした。

保護した猫が、幸せな飼い猫になるはずだった猫が「猫白血病だ」と言われてしまった時、私はどうしていいのかわからずに、街ゆく人々の姿を見ながら「いいな、あの人たちは家に猫白血病の猫がいて途方に暮れたりしてないんだ」とか思ってしまいました。先住猫を守らないといけない。でもこの子にも愛情をあげたい。なのに隔離するとか、制限のある飼い方しかできない。幸せじゃないんじゃないか。私のやってることは正しいんだろうか。

さんざん悩んだし重い気持ちもずっと抱えていましたけど、私はもう病院の帰りに泣きながら車を運転することもありません。きのう亡くして、きょう火葬しました。もうあの子はいないので、あれこれ色々と心配することはこれからはなくなります。うちにはもともと猫が3匹いて、その状態に戻っただけです。それがこんなにも、こんなにもさみしいなんて。猫白血病の子と出会ってしまったら、けっこう大変です。ハードモードの人生をかかえたその子を、結局とても愛してしまうので。でもかけた愛情を、後悔することはなかったです。

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